|
|||||||||
不況による先行き不透明な産業経済のなかで、勤労者はリストラ不安、倒産危機などの不安な状況に措かれております。まさに不安の時代です。 働く人のメンタルヘルスは、バブル期まではワーカホリックな性行と労働時間の短縮が課題でした。しかし昨今は、もっぱら生活経済的な将来不安がテーマとなっています。 自殺率や心の病の有病率から見ても、国民の精神健康は悪化の一途を辿っています。秋田県でも、県警生活安全企画課による発表では昨年度の自殺数は過去最悪で、なかでも生活経済の問題が急増しているという指摘です。精神医療においても、失業や債務といった経済的困窮を背景要因とする心の不調が目立ってきています。 実際に心の病が増加しているという調査報告があります。私が嘱託研究医をしていた社会経済生産性本部の最近の調査では、約半数の会社において社員に心の病が増加しており増す。なかでもうつ病が最も多く、心の病で一ヶ月以上休職している従業員がいる会社は六割にも上っております。 では職場ではどのような健康対策が必要なのでしょうか。会社存亡の危機に瀕して社員の健康どころではないと主張する経営陣もいるかも知れません。しかし目先の数字に目を奪われて従業員を大切にしないともっと危ういという事実は、バブル崩壊後に倒産した会社や不祥事を惹き起こしている企業が教えております。いつの時代も、やはり人材は財産なのだとおもいます。 職場メンタルヘルスの実態を調べますと、おおかたは社内報によるストレス解説や社員向けの講演会で済ませているのが実情です。しかし単なる知識だけでは不十分で、会社内にサポート体制が働いていないと実効性をもちません。何も社内カウンセラーを配置すればいいというのではありません。実は管理職のリスニング機能が予防には重要なのです。悩み事を誰に相談するかのサポート資源で比較しますと、上司を選んでいる人が心身の健康度も職場適応感も一番高いからです。 ちなみに精神健康が低下すると3Aと呼ぶ不適応兆候が職場で見えてきます。つまり、遅刻、無断欠勤、作業能率遅滞を意味するアブセンティズム。第二のAはアクシデントで、仕事上のミス、トラブル、交通事故、労務災害などです。第三は欧米では酒気帯び出勤などの問題飲酒ですが、わが国ではアパシィ(無気力)の方が分かりいいかもしれません。3Aはストレス病に陥る前段階の兆候ですので、精神健康の指標として職場で支援体制が組めれば医療よりも早期に対応できて疾病予防的です。今日では、単に病気予防だけでなく事故防止や勤労モラールの向上を目的として、管理職のリスナー教育が注目されています。
|
|||||||||
|
※無断転載・無断引用は禁止します。
|