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古い話になるがバブル絶頂の頃に、教師のメンタルヘルスを企業労働者と比較して調査したことがある。過重労働で寝不足を強いられているワーカホリックな企業マンがさぞやストレスフルであろうと予測していたのだが、結果は予想外であった。教職が企業労働とは質的に異なる職業的特質について考察を迫られ、「対人援助職」という特徴に行き着かざるを得なかった。 教職は、モノ・カネを扱う職とは違って生徒の心や人格に触れ性格形成に関わる職分である。しかし、単なる対人サービス業ではない。相手の個性や資質、関心を把握し、信頼と安心という安定的な人間関係を基盤とする営みであるところに、匿名者を対象とする他の接客業とは大いに違っている。心の医療や福祉サービス職もそうだが、私はこのような職業をマックス・ウェーバーの名著に倣い、「職業としての人間関係」と呼んでいる。相手の心や人格はこちらの意図通りに操作的に扱えないから、その分ストレスフルであり燃え尽きやすい。実際、燃え尽き症候群なる命名は看護職の心身疲弊に端を発している。 教職のメンタルヘルス不全は、教職がまさに「職業としての人間関係」それ自体に由来している。先の調査でも、生徒指導上の困難、同僚・上司との関係不調、PTAの理解のなさ等々、学校における人間関係上の問題がストレス源となっていた。人づきあいを苦手とする教師もいないわけではないのだが、心身不調を教師個人の脆弱性に原因を求めてしまうと、「職業としての人間関係」が必然的に抱えるメンタルヘルス問題を看過する。メンタルヘルスが悪くなると、私もあなたもうつ病になるかもしれないし、反社会的行動(たとえば交通事故、飲酒運転など)に走ってしまうかもしれないという前提にたたなければならない。 教師のメンタルヘルスをプロモートするものは何か。それは教師間の人間関係につきる。教師の働き甲斐や困難に直面する力には、とりわけ上司、管理職の情緒的な支援が鍵となるから、管理職のマネジメントの質がもっとも重要となる。 (秋教祖新聞 平成18年11月)
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