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仲間体験が育む社会化
 

 昨今、青少年の心理臨床ではギャング・エイジの喪失が注目されている。つまり、思春期前に体験すべきはずの、同性同世代が群れて遊ぶ仲間体験の欠落である。

 今日の子どもたちが、大人とは付き合えても同世代との人間関係に消極的か回避的であるのは、この体験の喪失と無縁ではない。少子・車社会の現代では必然なのかもしれない。農村社会といえども、すでに近隣の繋がりが薄くなってしまい、子どもの社会化教育の機能を減衰しつつある。子どもたち同士が群れて遊ぶ場は、もはや学校に求めるしかないのだが、そこでうまく学べなかった子どもはどこで社会性を育くむのだろうか。

 ある不登校の姉妹は、この群れ体験の有無が社会化に果たす重要性を例証しているかもしれない。二歳違いだが、どちらも小学校三年から中学卒業までの七年間を不登校で経過している。後に高校に進学した姉は部活動やボランティアなど幅広く社会活動を展開するのだが、妹の方は高校の入学式の翌日から再び引きこもってしまうのだった。

 二人の転帰の差は、不登校期間の生活体験の違いにあると言えよう。姉は中学の三年間を不登校生徒の集まるフリースペースに参加していた。しかし妹の方は、家庭内で中学時代を過ごしている。姉妹ともに不登校に陥るのは自分の育て方に問題があったのだという自戒から、母親は退職までして抱え込んだからである。姉は家庭外の三人称世界を育んでいるに対して、妹のそれは家族関係に限定されていて、同世代との出会いが欠如していたのである。

 三人称の世界に群れる体験は、仮に思春期を逸したとしても必須である。映画「スタンドバイミー」が子どもたちのプチ家出に巣立ちの予兆を象徴するように、仲間体験は世間へと飛び出ていく力を身に付ける場である。人は、他者から関心を寄せられ承認されて自己肯定感を、集団の規範や道徳から自己抑制を、そして体験の共有から信頼感を学ぶのだと思う。家庭にはない、社会化育成の場なのである。

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