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近代医学は疾病の要素還元的な原因解析として発達し、近代医療もまたその医学モデルに依拠してもっぱら病態を対象とする治療技術を開発してきた。しかしここには、病人が生きづらさを抱えた「生活する主体」であるという認識が欠落しており、病気を診て人を診ずという偏狭な方法論に陥っている。ホリステック医療が求められる所以である。 |
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精神医学・医療もまた同様である。多くの場合、精神科診療室という非日常空間で語られ表出される症状に対応した処方や心理療法が経験科学的に開発されてきた。患者が苦悩の内的世界を安心して開示しうるには、診療室に守られた関係枠が保証されている必要性を否定するものではないのだが、人生の新たな物語を現実の生活世界に実際的に再構築していくためには、ことばと薬剤だけではあまりにも非日常的に過ぎるといえよう。密室における心理療法と薬剤を超える手段として、精神医療の中に生活体験が導入されなければならないとおもう。 |
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とくに昨今では、従来の精神医学の疾病概念では捉えられない、心理性格的な発達問題に起因する「病なき病」とでも形容しうるような、対人関係や適応問題などの生活上の諸困難を抱える人々が増えており、そういった人々に対しては精神医学的治療よりも発達・成長促進的な支援が求められている。 |
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しかし、そのようなニードに応えられるような、人間関係形成的・問題解決的なスキルを育成するような場も、いわば「生きる力」を育む学問的体系も未開発である。21世紀の精神保健医療でもっとも望まれるのは、精神疾患の原因論的解明はもとより、そのような心理性格発達上の問題に対する療育の科学性である。 |
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その際に三人称的な現実世界で人間関係を創造し生活のスキルを身につける「身体性」の開発が期待される。現代人の「身体性」は、自然と乖離した組織社会の機能化した人間関係を生きることにより、未成熟で・傷つき・疲弊しているといえよう。そういった「身体性」を癒し成長発達させるためには、自然と調和した治療環境の中で、ものを作り・生き物を育て・人と関わる活動が必須とされよう。 |
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